「むくみ(浮腫)」とは?むくみは体のSOSサイン? 内科・循環器の視点で診療します
「むくみ」とは、医学用語で「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれ、皮膚の下の組織に余分な水分が溜まった状態を指します。
夕方になると靴がきつくなる、靴下の跡がくっきり残る、といった経験は多くの方がお持ちでしょう。長時間立ちっぱなしだったり、塩分の多い食事を摂ったり、アルコールを飲んだ翌朝に顔がむくんだりするのは、一時的な(一過性の)むくみであり、多くの場合、心配はいりません。
しかし、注意が必要なのは、「一晩寝ても解消しない」「日に日に悪化する」「全身がむくんでいる」「特定の場所だけが異常にむくむ」といった持続的なむくみです。
そのむくみは、心臓、腎臓、肝臓など、体内の水分バランスを調節する重要な臓器が発している「SOSサイン」かもしれません。くぼたクリニック松戸五香では、内科・循環器の視点から、そのむくみの原因を丁寧に探ります。

注意が必要な「むくみ」のサイン
むくみは、それ自体が症状であると同時に、他の重大な疾患の「レッドフラッグ(警戒すべき事項)」である可能性もあります。以下のような特徴を持つむくみは、放置せずに医療機関を受診してください。
急に始まった、片足だけのむくみ
特に痛みや赤みを伴う場合、足の深い部分の静脈に血栓(血の塊)ができる「深部静脈血栓症(DVT)」の可能性があります。この血栓が肺に飛ぶと、命に関わる「肺塞栓症(エコノミークラス症候群)」を引き起こすため、緊急の対応が必要です。
息切れ、動悸、横になると苦しい、を伴うむくみ
これは「心不全」の典型的な兆候です。心臓のポンプ機能が低下し、全身に血液をうまく送り出せず、足や肺に水が溜まった状態(肺水腫)を示唆します。
顔(特にまぶた)のむくみ、尿の泡立ちを伴うむくみ
「腎臓病(ネフローゼ症候群など)」が疑われます。腎臓のフィルター機能が壊れ、体に必要なタンパク質が尿に漏れ出てしまうことで、血管内の水分が外に漏れ出しやすくなります。
お腹の張り(腹水)、皮膚や白目が黄色い(黄疸)を伴うむくみ
「肝臓病(肝硬変など)」が疑われます。肝機能が低下すると、血液中のタンパク質(アルブミン)が作れなくなり、同様にむくみや腹水(お腹に水が溜まる)が生じます。
数日で急激に体重が増加した
短期間での体重増加は、脂肪ではなく「水分」の蓄積によるものである可能性が高く、全身性のむくみ(心不全や腎不全など)が急速に進行しているサインです。

むくみの主な原因:体が発するメッセージ
持続的なむくみは、体内の水分調整システムのどこかに異常が生じていることを示しています。主な原因は以下の通りです。
心臓の問題(心不全)
心臓は全身に血液を送り出すポンプです。この機能が低下すると、血液が全身をスムーズに流れなくなり、特に心臓から遠い足などの静脈に血液がうっ滞し、水分が血管の外に漏れ出してむくみとなります。
腎臓の問題(腎不全、ネフローゼ症候群)
腎臓は、体内の余分な塩分と水分を尿として排泄するフィルターです。腎機能が低下すると(腎不全)、水分を排泄できなくなり、体に溜め込んでしまいます。また、フィルターが壊れてタンパク質が漏れ出すと(ネフローゼ症候群)、血液の浸透圧が下がり、むくみが生じます。
肝臓の問題(肝硬変など)
肝臓は、血液の水分を血管内に保持する役割を持つ「アルブミン」というタンパク質を合成しています。肝硬変などで肝機能が著しく低下すると、アルブミンが不足し、血管から水分が漏れ出し、足のむくみや腹水として現れます。
静脈・リンパ管の問題(深部静脈血栓症、リンパ浮腫)
足の静脈に血栓ができて血流が妨げられると(深部静脈血栓症)、その先の足がパンパンにむくみます。これは片足だけに起こることが多いのが特徴です。また、がんの手術などでリンパ節を切除した後などに、リンパ液の流れが滞って生じる「リンパ浮腫」もあります。
その他の原因
甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンの不足)、栄養失調(タンパク質不足)、一部の降圧剤(カルシウム拮抗薬など)の副作用。

むくみに対する当院の診断プロセス
むくみの原因は多岐にわたるため、くぼたクリニック松戸五香では、どの臓器に問題があるのかを特定するため、以下の検査を組み合わせて診断を進めます。
1. 当院での初期診断
詳細な問診と身体診察
いつからむくんでいるか、左右差はあるか、体重は増えたか、息切れや黄疸などの他の症状はないか、現在服用中のお薬は何か、などを詳しくお伺いします。
診察では、すねなどを指で押し、跡が残るか(Pitting Edema)を確認し、心臓や肺の音を聴診します。
血液検査
むくみの原因を特定するための最も重要な検査の一つです。
腎機能
血液中の老廃物(BUN、クレアチニン)を測定し、腎臓が正常に働いているかを確認します。
肝機能・栄養状態
肝臓の酵素(AST, ALT)や、肝臓で作られるアルブミン(タンパク質)の数値を確認します。
心機能
心臓に負担がかかると分泌されるホルモン(BNP)を測定し、心不全の可能性を評価します。
甲状腺機能
甲状腺ホルモンの数値を確認します。
尿検査
腎臓病のスクリーニングに不可欠です。尿にタンパク質や血液が漏れ出ていないかを調べます。
超音波(エコー)検査
当院の「最新超音波診断装置」は、むくみの診断においてもその威力を発揮します。X線検査とは異なり、内臓や血流の状態をリアルタイムで詳細に観察できます。
腹部エコー
肝臓病(肝硬変)や腎臓病による形態の変化、腹水の有無などを評価します。
下肢静脈エコー
片足だけのむくみの場合、緊急性の高い「深部静脈血栓症(DVT)」の有無を調べるため、足の静脈に血栓が詰まっていないかを直接観察します。

2. 専門医・基幹病院との連携
当院での問診、血液・尿検査、超音波検査の結果、むくみの原因が明らかになり、当院での内服治療や生活指導で管理可能な場合も多くあります。
一方で、初期診断の結果、より専門的な精密検査や入院治療が必要と判断される場合、当院は「医療の案内役」として、速やかに専門医へと橋渡しします。
心不全が強く疑われる場合
心臓のポンプ機能を詳細に評価するための心エコー(心臓超音波検査)や、専門的な治療管理が必要です。当院の連携先である千葉西総合病院や松戸市立総合医療センターなど、地域の基幹病院の循環器専門医へご紹介します。
腎機能の低下が著しい、またはネフローゼ症候群が疑われる場合
腎生検(腎臓の組織を採取する検査)なども含めた精査が必要となるため、腎臓内科の専門医と連携します。
深部静脈血栓症(DVT)が確認された場合
血栓が肺に飛ぶのを防ぐため、緊急で抗凝固療法(血液をサラサラにする治療)を開始する必要があり、直ちに専門の医療機関へご紹介します。
結論:長引くむくみを放置せず、ご相談ください
「たかが、むくみ」と軽視されがちですが、持続的なむくみは、心臓、腎臓、肝臓といった生命維持に不可欠な臓器からの重要な警告サインである可能性があります。
くぼたクリニック松戸五香は、そのむくみが一時的なものなのか、あるいは治療が必要な疾患の兆候なのかを的確に見極めるための「最初の窓口」です。
当院では、詳細な問診、血液・尿検査、そして最新の超音波診断装置を駆使して、むくみの原因を多角的に調査します。そして、必要であれば千葉西総合病院や松戸市立総合医療センターなどの信頼できる連携先病院と協力し、患者様にとって最適な治療プランを構築します。
「最近、むくみが取れない」「体重が増えてきた」など、気になる症状がございましたら、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

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