肺炎球菌、RS、帯状疱疹ワクチン

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチンについて

肺炎球菌は、特に高齢者における市中肺炎の主要な原因菌です。これに対抗する有効な手段として、肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されています。ここでは、主に使用される二種類のワクチンについて説明します。

ワクチンの種類と効果

肺炎球菌ワクチンには主に「ニューモバックスNP」と「プレベナー13」の二種類があり、それぞれ異なる血清型に対応しています。

ニューモバックスNP
• ワクチンの種類:多糖体(ポリサッカライド)ワクチン
• 含まれる抗原:23種類
• 効果の持続:5年間以上
• 費用(税込):8800円(本体8000円)
• 作用機序:T細胞非依存性にB細胞を活性化し、特異的IgG抗体産生を促進

プレベナー13
• ワクチンの種類:結合型(コンジュゲート)ワクチン
• 含まれる抗原:13種類
• 効果の持続:長期間
• 費用(税込):12100円(本体11000円)
• 作用機序:T細胞依存型抗原としてB細胞を活性化し、免疫記憶を確立

松戸市の高齢者肺炎球菌ワクチンについて

松戸市の高齢者の方々には、肺炎球菌ワクチン「ニューモバックスNP」を肺炎球菌ワクチンの助成があります
• 対象:松戸市在住の高齢者

対象者

定期予防接種
松戸市に住民登録をしており、過去に肺炎球菌ワクチンを一度も接種したことがない方々が対象です。以下の条件に該当する方が対象となります。
(1) 令和5年度中に65・70・75・80・85・90・95・100歳になる方
※ 該当年度の4月1日から3月31日の間であれば、誕生日を迎えていなくても接種できます。
対象者一覧表
65歳 昭和33年4月2日から昭和34年4月1日
70歳 昭和28年4月2日から昭和29年4月1日
75歳 昭和23年4月2日から昭和24年4月1日
80歳 昭和18年4月2日から昭和19年4月1日
85歳 昭和13年4月2日から昭和14年4月1日
90歳 昭和8年4月2日から昭和9年4月1日
95歳 昭和3年4月2日から昭和4年4月1日
100歳 大正12年4月2日から大正13年4月1日
(2) 満60歳以上65歳未満の方で、以下の1または2により1級の身体者障害者手帳をお持ちの方
• 心臓、腎臓又は呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害を有する方
• ヒト免疫不全ウイルスにより免衛の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する方
• 価格:1回のみ2500円(税込)
• 条件:条件に該当する高齢者のみ
接種の推奨
これらのワクチンは、それぞれ異なる血清型に対して効果があり、併用することでより広範な保護が期待できます。特に基礎疾患を有する方や高齢者は重篤な状態になるリスクが高いため、ワクチン接種が強く推奨されます。

成人向けのRSウイルスワクチン

RSウイルス感染症とは?

RSウイルス(respiratory syncytial virus; RSV)は、乳幼児から高齢者まで全年齢層に上気道炎や下気道炎を引き起こす呼吸器ウイルスです。特に、慢性呼吸器・心疾患を合併する高齢者にとって重大なリスクを伴います。日本では、RSウイルスによる入院や死亡が年間で約63,000件、4,500件にものぼると推定されています。

感染経路と影響

RSウイルスは主に接触感染と飛沫感染で広がります。日常生活での接触が主な感染源で、感染した人との直接接触や、感染者が触れた物品を通して感染します。高齢者においては、RSウイルス感染症がインフルエンザウイルスと同等の致命率を引き起こすことが示唆されており、特に肺炎を発症した場合の予後が不良であることが知られています。

RSウイルスワクチン「アレックスビー(AREXVY)」の紹介

これまで成人向けのRSウイルス感染症に対する効果的なワクチンや治療薬は存在しませんでした。しかし、新しいRSウイルスワクチン「アレックスビー(AREXVY)」の登場により、このギャップが埋められました。このワクチンは成人や高齢者におけるRSウイルス感染症の予防に効果的です。

ワクチンの重要性

アレックスビーの導入により、RSウイルス感染後の重症化リスクの低減が期待されます。特に、高齢者の場合、RSウイルスによる重症肺炎のリスクが高いため、このワクチンは大変有効です。2歳未満のお孫さんがいるおじいさん、おばあさんには、特にこのワクチンの接種をお勧めします。

診断と治療

RSウイルス感染症の診断は、成人や高齢者においては、発熱、咳嗽、喀痰、喘鳴や呼吸困難などの症状を伴うことが多く、これらの症状がある場合に診断が可能です。診断方法としては、小児におけるRSV感染症では迅速抗原検査が行われますが、高齢者においては感度が低くなることがあります。

治療と予防薬

これまでRSウイルス感染症に対する治療は、対症療法が中心でした。しかし、アレックスビーの登場により、予防薬としての役割を果たします。感染後の治療には、まだ特効薬が存在しないため、インフルエンザ以上に予防が重要です。特に、感染リスクが高い季節には、予防接種を受けることが推奨されます。

費用について

アレックスビーの接種費用は27,500円(税込)です。当クリニックでは、このワクチンの接種を予約制で行っておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。

まとめ

RSウイルス感染症は、高齢者において特に重大な健康リスクをもたらします。新しいワクチン「アレックスビー(AREXVY)」は、このリスクを軽減するための重要な手段です。当クリニックでは、皆様の健康を守るために、このワクチンの接種を積極的に推奨しております。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。健康で快適な生活を送るために、予防接種の重要性を忘れずにいましょう。

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹ワクチンで帯状疱疹を予防しよう!
今回は、皆さん痛くて辛い、帯状疱疹かかられたことがありますか?
これにもワクチンがあることをご存知でしょうか?
50歳以上は推奨するこの帯状疱疹のワクチンのお話しをしようと思います。

帯状疱疹とは何?

帯状疱疹は水ぶくれなどを伴う発疹が左右のいずれかの場所に帯状にできることから帯状疱疹と呼ばれています。 全身のどの部位にも片側だけですができる可能で位があります。 眼や耳の周囲になると、結膜炎や難聴などの疾患を合併することがあります。
強い痛みが3-4週継続して起こります。
辛いですよね。
それだけではありません。
50歳以上の約2割の方は帯状疱疹後神経痛になり痛みが一度落ち着いた後に6ヶ月から1年以上痛みが継続する場合があります。
これが帯状疱疹後神経痛という状態です。

帯状疱疹は水ぼうそうのウイルスが原因

帯状疱疹は多くの方が子供の頃に発症する水ぼうそうのウイルスが後神経節という場所に潜伏し、ストレスや免疫機能が低下したときに 帯状疱疹として発生します。
この帯状疱疹は50歳から発症率が高くなり80歳までに1/3がかかるといわれています。
この辛い帯状疱疹を予防することができるのがワクチンです。

帯状疱疹ワクチンとは?

現在帯状疱疹のワクチンは2種類あります。
・生ワクチンである水痘ワクチンである弱毒化ウイルスの生ワクチン(接種1回)
・不活化ワクチンであるシングリックス(接種2回)(2ヶ月後に2回目を接種)
どちらのワクチンも水痘、帯状疱疹の予防に効果的で50歳以上の方に使用可能です。
水痘ワクチンは元々水疱瘡のワクチンを帯状疱疹で使用しているワクチンです。
シングリックスはまさに帯状疱疹のために作られたワクチンとなっています。

両者のワクチンの違いは?

まずは効果では水痘ワクチンはやや弱目です。
60歳以上であれば発症を半分まで減らし帯状疱疹後神経痛を1/3まで減らすことができます。
シングリックスは非常に強力で50歳以上で発症を3〜5%まで減らすことができます。
70歳でも10%程度まで減るといわれています
副反応については、重篤なものは稀ですが、
・注射部位の腫れや痛みはシングリックスには強いです。
・筋肉痛、疲労感、頭痛などもシングリックスには多いです。
また水痘ワクチンについては免疫力が低下している方には使用できません。

費用について

費用については当院では下記の通りです。

■当院の料金
水痘ワクチン(生ワクチン) (1回接種)8,200円
シングリックス(不活化ワクチン) (2回接種)1回:22,000円 × 2 合計:44,000円
■松戸市の助成金
水痘ワクチン(生ワクチン) 1回 予防接種費用の2分の1(上限2,000円)助成は1回まで
シングリックス 不活化ワクチン 2回 接種1回につき、上限5,000円 助成は2回まで

【備考】標準として、1回目の接種から2か月後に、2回目を接種します。

■自己負担額
水痘ワクチン(生ワクチン) (1回接種)6,200円
シングリックス(不活化ワクチン) (2回接種)1回:17,000円 × 2 合計:34,000円

※シングリックスは2回ワクチン接種で1回目と2回目の接種を2ヶ月(4週間)空けて打つようになります。

帯状疱疹を絶対に予防したいという方はシングリックスの注射をおすすめします。
帯状疱疹の予防効果はやや弱いけれども費用を抑えたい方は水痘ワクチンがいいと思います。
また水痘ワクチンは生ワクチンとなりますので他のワクチンとの期間は4週間空けることが必要となります。
シングリックスは不活化ワクチンですので他の不活化ワクチン(インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチン)などと 同時に接種は可能です。

コロナワクチンとの間隔は?

現在のところコロナワクチンは他のワクチンと2週間あけて打つことになっていますので帯状疱疹ワクチンを打つときも2週間の間隔をあけてください。とくに水痘ワクチンは生ワクチンですので先に水痘ワクチンを打った場合は4週間空けることになります。
シングリックスは不活化ワクチンですのでコロナワクチンとの間隔はインフルエンザワクチンと同様に2週間あけていただければと思います。
●当院では予約制
当院でも帯状疱疹のワクチン接種は可能です。
水痘ワクチン、シングリックス共に予約制となりますのであらかじめお電話でご連絡いただければと思います。
予約されてから1〜2週間程度でワクチンが届きます。ご検討お願いいたします。