尿管結石症
(腰が痛い、下腹部が痛い)

  1. 尿管結石とは?

    尿管結石と聞いて、皆さんはどのようなイメージがありますか?おそらく、とてつもない 痛みがある、おしっこすると激痛が走る、血尿があるなど、痛みや尿に関するイメージが先行しているのではないでしょうか。痛みが強い症状のものであるため、もし自分がなってしまったら…と不安になってしまいますよね。

    尿管結石とは、皆さんが思い浮かべるように、非常に痛みが強い症状の一つです。尿の出る際に激痛が走ることや、血尿が出ることなど、痛みや尿に関連するイメージが強いですね。もちろん、自分が罹患するのではと不安に感じることもあるでしょう。


    尿管結石とは、どのような状態なのでしょうか?どのような痛みがあるのか、再発や慢性化の可能性はあるのか、また治療法にはどのようなものがあるのか、痛みがある方や疑わしい症状を持っている方、そして多くの皆さんが疑問に思っていることを、わかりやすく説明していきたいと思います。


    尿管結石症の症状とは?

    尿管結石症の症状には、以下のようなものが挙げられます。

    腰痛や腹痛
    結石が尿管に詰まることで、急激な腰痛や腹痛が起こることがあります。痛みは波状に強くなったり弱まったりすることが特徴です。
    血尿
    結石が尿管の壁を傷つけることで、尿に血が混ざることがあります。血尿は目視できる場合もあれば、尿検査でしか分からない場合もあります。
    排尿障害
    結石が尿道に詰まると、排尿が困難になることがあります。また、頻繁に排尿を促す刺激を感じることがあるでしょう。
    悪寒や発熱
    結石が尿管を詰まらせることで、尿管感染症が起こることがあります。その結果、悪寒や発熱などの症状が現れることがあります。
    吐き気や嘔吐
    痛みが強い場合、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。

    尿管結石の痛みの原因は?

    痛みの原因は、腎臓で生成された結石が尿管内に移動する際に尿管を傷つけることにあります。この傷つける痛みも一因ですが、結石によって上流からの尿が遮られ、下に流れなくなることも問題です。この状態で、尿がどんどん溜まり、尿管や腎臓が風船のように膨張していくことが起こります。その膨張が腎臓を圧迫し、痛みとして現れます。このような状態を水腎症と呼びます。


    一般的に尿管結石と呼ばれているものは、実際には尿路結石のことを指します。このページでは、より一般的な表現である尿管結石という言葉を使用しています。尿路結石には、尿管結石、腎臓結石、膀胱結石の3種類が存在します。つまり、尿路結石とは、尿の通り道のどこかにできる結石のことを指します。結石のできる場所は異なりますが、まず腎臓で結石ができ、それが腎臓結石となり、さらに落ちて尿管結石となり、最終的に膀胱の中まで落ちて膀胱結石となります。


    膀胱結石については、腎臓から落ちてくるケース以外にも、尿の排出が悪い人や前立腺肥大、神経因性膀胱を持つ人の場合、結石が膀胱から発生することもあります。

    尿管結石の原因は?

    尿管結石の原因には、いくつかの要素が関与しています。主な原因は以下の通りです。

    食生活
    食事から摂取するカルシウム、リンなどのミネラルが過剰になると、尿中にこれらの成分が溶け込み、結石ができやすくなります。特に、高カルシウムや高ナトリウムの食品、動物性タンパク質を過剰に摂取すると、結石のリスクが高まります。
    脱水
    水分摂取が不足して尿が濃縮されると、尿中のミネラル濃度が上昇し、結石ができやすくなります。特に、暑い環境や運動時の水分補給が不十分だと、リスクが高まります。
    遺伝・家族歴
    結石が家族に多い場合、遺伝的な要素が関与している可能性があります。また、特定の遺伝子変異や代謝異常が、結石の原因になることもあります。
    腎臓の状態
    腎臓の機能が低下したり、解剖学的な異常がある場合、結石ができやすくなります。
    薬物
    特定の薬物が尿中のミネラル濃度を変化させ、結石ができやすくなることがあります。例えば、サプリメントの過剰摂取や一部の利尿剤、抗がん剤などが関与することがあります。

    これらの原因は、個人の体質や生活習慣によって異なります。結石のリスクを減らすためには、バランスの良い食事、十分な水分摂取、適度な運動が重要です。また、結石の繰り返しを防ぐためには、専門医の指導に従って生活習慣の改善や治療を行うことが大切です。

    尿管結石になりやすい人は?

    尿管結石になりやすい人には、以下のような特徴があります。

    食生活
    高カルシウム、高ナトリウム、高リンの食品を過剰に摂取している人は、結石ができやすくなります。また、動物性タンパク質の摂取量が多い人もリスクが高まります。
    水分摂取が不十分な人
    脱水状態になりやすい人や、一日の水分摂取量が不十分な人は、尿中のミネラル濃度が上昇し、結石ができやすくなります。
    遺伝・家族歴
    結石が家族に多い場合や、特定の遺伝子変異や代謝異常がある場合、結石のリスクが高まります。
    腎臓の状態
    腎臓の機能が低下している人や、解剖学的な異常がある人は、結石ができやすくなります。
    薬物の影響
    特定の薬物やサプリメントを摂取している人は、尿中のミネラル濃度が変化し、結石ができやすくなることがあります。
    過度のストレスや不規則な生活
    ストレスが高い状態や睡眠不足、不規則な生活を送っている人は、ホルモンバランスが乱れ、結石のリスクが高まることがあります。
    高齢
    高齢者は、腎臓機能の低下や尿路の筋力低下が起こりやすく、結石ができやすくなります。

    これらの特徴を持つ人は、結石のリスクが高まる可能性があります。リスクを減らすためには、バランスの良い食事、十分な水分摂取、適度な運動、ストレスの軽減が重要です。また、結石の繰り返しを防ぐためには、専門医の指導に従って生活習慣の改善や治療を行うことが大切です。

    尿管結石の検査とは?

    問診と触診
    最初に、問診と触診が行われます。痛みの経過やこれまでの病歴、家族内で尿管結石になった人がいるかどうかなどの 問がされます。触診では、腰を軽く叩いて痛みを確認します。ただ触るだけでは痛みはないのですが、叩くことで結石がある側に痛みが走ることがあります。
    尿検査
    問診や触診の後、尿検査が行われます。尿路結石の場合、尿に潜血や白血球が多く見られることが一般的です。
    超音波検査・レントゲン検査(KUB)
    超音波検査と同時にレントゲン検査も行われます。レントゲン検査により、結石が尿管のどの位置にあるかを確認できます。ただし、結石が小さかったり、種類によっては映らないこともあります。2回目以降の診察では、結石が移動しているかどうかを確認するために、主にレントゲン検査が行われます。超音波検査と同時に行うと費用が高くなることを考慮し、このような手順がとられています。
    採血
    尿管結石は、腎臓からの尿がふさがれることで感染症を併発する可能性があります。そのため、感染の有無を確認し、腎機能が正常に働いているかどうかも検査します。

    尿管結石の治療方法は?

    保存療法
    尿管結石の治療法では、まず8割が保存的治療によって行われます。5ミリ以下の結石であれば、ほとんどが自然に排石されます。5ミリ以上でも1センチ未満の場合、この方法で様子を見ることが一般的です。保存的治療では、たくさんの水分を摂取することが推奨されます。
    水分摂取と適度な運動により、尿管の働きが活発化し、結石が排出されやすくなります。通常の生活を送ることが重要で、尿管結石があるからといってずっと痛みが続くわけではないため、安静になりすぎるのは良くありません。積極的に動くことで、尿管の働きを促し、排石を助けましょう。また、排石を促進する薬として、ウラジルガシエキス錠やα1ブロッカーなどが処方されることがあります。
    1センチ以上の結石や、保存的治療で数ヶ月経過しても排石されない場合は、以下の治療法が検討されます。
    体外衝撃波結石砕石術(ESWL)

    体外衝撃波による治療は、結石を破壊し、細かく砕いて自然に排石させる方法です。基本的にレントゲンで映る結石にのみ適用され、1つの結石を対象としているため、複数の結石がある人には通常向いていません。
    メリットは、体外から衝撃波を当てるだけで手術が不要なため、体への負担が少ないことです。無麻酔、座薬、または点滴麻酔で行われ、合併症が少なく、1泊程度の入院で済むことが多いです。

    デメリットは、成功確率が70-80%程度であることです(後述するTULと比較すると成功率が低い)。潜在的な合併症として、腎出血や皮膚からの出血があります。また、結石が非常に固い場合は、衝撃波で砕くのが難しくなります。そういった場合は、次に説明するTULの治療に移行します。窪田院長は、以前の千葉西総合病院で体外衝撃波治療を1000件以上行っており、セカンドオピニオンも含めていつでも相談に応じます。

    経尿道的尿管結石砕石術(TUL)

    内視鏡を直接尿道から膀胱に挿入し、尿管内の結石をカメラで確認します。その後、尿管結石に直接レーザーを当てて粉砕します。基本的には石を粉々にしてその場で取り除きますが、結石の状態によっては、自然に排石されるよう放置し、保存的治療に移行することもあります。

    TULのメリットは、結石除去の成功確率が95%以上であり、硬い結石も確実に粉砕できることです。デメリットは、全身麻酔や腰椎麻酔が必要であり、入院期間も2-4日必要となることです。また、内視鏡を挿入する際に尿管が傷つき、治る過程で形が変わり、尿管狭窄が起こることがあります。ただし、最近ではカメラ技術の向上により、そのような事例は減少しています。

    当院では、患者さんに最初からすべての治療方法を知っていただき、可能な限り希望に沿った治療法を選択してもらっています。ただし、当院ではESWLやTULは行っていません。TULが可能な病院は、松戸市周辺の千葉西総合病院、松戸市立総合医療センター、新松戸中央総合病院などです。これらは連携病院であり、また当院でも非常勤医師として勤務しているため、適切な病院への紹介が可能です。

    尿管結石の予防方法は?

    尿管結石の予防方法には以下のポイントがあります。

    水分摂取
    1日に十分な量の水分を摂取し、尿量を増やすことで結石が形成されにくくなります。目安としては、1日に2リットル程度の水分を摂ることが推奨されます。
    塩分の制限
    過剰な塩分摂取は、結石の原因となるカルシウムや尿酸の排泄量を増加させるため、摂取量を適度に抑えましょう。
    カルシウムの適度な摂取
    カルシウムを適切な量摂取することで、尿中の酸化カルシウムが減り、結石のリスクが低減されます。ただし、過剰摂取は逆効果になるため注意が必要です。
    動物性タンパク質の適量摂取
    過剰な動物性タンパク質摂取は、尿酸結石のリスクを高める可能性があります。バランスの良い食事を心がけ、適量の摂取を心掛けましょう。
    継続的な運動
    適度な運動を継続することで、尿管の働きが活発になり、結石が排出されやすくなります。
    酸性・アルカリ性のバランス
    食事によって体内の酸性・アルカリ性のバランスが崩れることが、結石の原因になることがあります。野菜や果物を多く含めたバランスの良い食事を摂ることが大切です。

    これらの予防方法を日常生活に取り入れることで、尿管結石のリスクを低減できます。ただし、結石の原因は個人差がありますので、自分に合った予防方法を見つけることが重要です。

    尿管結石だなと思ったら、、、

    腰の痛みや違和感を感じた場合、自己判断せずすぐに近くの泌尿器科で診てもらいましょう。痛みが強い場合は、救急車を呼ぶことも遠慮せず、必ず医師の診察を受けてください。また、腎臓結石は健康診断で見つかることもあります。

    尿管結石の痛みは予測が難しく、仕事中に急な痛みが襲ってくることもあります。

    当院では、緊急の患者さんも随時受け付けています。

    尿管結石の診療費用は?

    当院は基本的に保険診療を行っています。
    初診の診療費用は薬代を除き、おおよそ以下の通りです(3割負担の場合)。


    ・尿検査のみ:約2,000円
    ・エコー検査のみ:約2,500円
    ・採血+尿検査:約3,500円
    ・採血+尿検査+エコー検査:約5,000円

    当院は泌尿器科専門の保険診療クリニックであり、プライバシー管理と感染予防対策を徹底しています。老若男女が気軽に受診できる環境を整えております。
    泌尿器科疾患でお悩みの方は、ぜひお気軽にくぼたクリニック松戸五香までご受診くださ い。