頻尿(男女ともおしっこが近い。夜何度もトイレに行く)
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頻尿とは?
頻尿は日中の頻尿と夜間頻尿に分けられます
■日中の頻尿とは?
頻尿とは、1日に8回以上トイレに行く状態を指します。つまり、おおよそ2時間ごとに1回以上トイレに行くペースであると、頻尿と定義されています。頻尿の状態では、仕事への集中が難しくなったり、バスなどの公共交通機関を利用してもすぐに下車しなければならないなど、大変なストレスが生じることがあります。
■夜間頻尿とは?
夜間頻尿は、50歳以上の男女の半数以上が悩んでいると言われています。寝ている間に1回以上トイレに起きることを夜間頻尿と言います。定義上は、1回起きるだけでも夜間頻尿とされますが、病的と判断されるのは2回以上とされています。1回くらいトイレに起きる人は少なくありませんが、2回以上になると、検査や治療が必要な夜間頻尿となります。
夜間頻尿で起きた後、すぐに眠れる場合は問題ありませんが、眠れない人も多くいます。また、一晩に5、6回起きる人も珍しくなく、中には8回以上起きる人もいます。このような場合、睡眠の質が低下し、高齢者には転倒のリスクが増え、非常に危険です。高齢者の転倒は、その後の寿命に影響を与えることがあるため、リスクをできるだけ減らすことが重要です。
頻尿の原因について
■神経性頻尿
神経性頻尿は、30歳以下の若い人に多く見られます。尿検査、超音波検査、採血をしても異常が見つからない場合でも、職場や学校でのストレスが主な原因で頻尿になることがあります。これを神経性頻尿と呼びます。具体的な原因は見つからないものの、ストレスが膀胱の尿を貯める力を低下させることが考えられます。診断のために、排尿日誌を使って1回の膀胱容量を測定します。■過活動膀胱
過活動膀胱とは、尿を我慢できなくなり、頻尿になる状態を指します。男性と女性の両方に見られますが、男性の場合はほとんど前立腺肥大症を伴います。女性は30歳以上で、高齢になるほど過活動膀胱の割合が増えます。2021年現在、800万人以上の過活動膀胱患者がいるとされており、テレビなどで宣伝されている泌尿器科の病気の一つです。
過活動膀胱は、特に膀胱の中に異常があるわけではなく、採血や尿検査で異常が見られるわけではありません。一般的に高齢になると過活動膀胱の患者数は増えます。これは、高齢により膀胱の筋肉が疲れ、神経が過敏になって少量の尿が溜まるだけで反応し、排尿したいと感じるようになるためです。つまり、過活動膀胱は、膀胱に尿を溜めることができなくなる蓄尿障害という状態です。
■前立腺肥大症
前立腺が肥大すると、尿の出が悪くなり、膀胱の筋肉が過労になります。その結果、膀胱の神経が過敏になり、頻尿が引き起こされます。この状態は、主に50歳以上の男性に多く見られます。前立腺肥大症によって頻尿が起こる場合も、膀胱に尿が少量しか貯められない状態であり、過活動膀胱と同様に蓄尿障害として分類されます。■尿管結石症
尿管結石が原因で頻尿が起こることがあります。結石が尿管の下部に位置すると、膀胱に刺激を与えて頻尿が発生します。
尿管結石による頻尿の場合、片側の腰痛や残尿感などの症状が伴うことが一般的です。このタイプの頻尿の特徴は、急に症状が現れることです。前立腺肥大症や過活動膀胱では、年齢とともに徐々に頻尿の症状が出現しますが、尿管結石の場合、結石が下部の尿管に詰まった瞬間から症状が出るため、急に頻尿になったと感じることがあります。
■膀胱炎
若い女性に多い膀胱炎は、膀胱に炎症が起こることで頻尿が発生します。排尿時の痛みや残尿感が伴い、時には血尿も見られることがあります。膀胱炎による頻尿は、急に症状が現れることが特徴です。■膀胱がん
膀胱がんの場合、悪性の腫瘍が膀胱内に発生し、その腫瘍が膀胱に刺激を与えて頻尿が引き起こされます。膀胱がんの主な症状は、無症候性の肉眼的血尿とされており、これは「症状がないのに目で見て分かる血尿が出る状態」を意味します。■大量の飲水
大量の水分摂取が行われると、当然尿も多く生成されます。この場合、膀胱に貯められる尿量は正常であるものの、尿の回数が増えてしまいます。 原因としては、中枢性尿崩症や神経性の多飲が考えられます。夜間頻尿の原因ついて
■前立腺肥大症
先述した通り、昼間の頻尿と同じ原因が夜間頻尿にも関係します。前立腺肥大症による頻尿は、膀胱に尿を貯められなくなる蓄尿障害です。また、前立腺がんが進行した場合も、同様の症状が現れることがあります。■夜間の過活動膀胱
こちらも昼間の過活動膀胱で述べた通りの内容です。年齢とともに膀胱に尿が溜められなくなります。■夜間多尿
夜間頻尿の約8割は夜間多尿が原因とされています。40歳までの若い人は、基本的に昼間に尿が多く作られ、夜間の尿量が少ないのが通常です。しかし、年齢が上がると、高血圧や糖尿病、心臓や腎臓の病気が影響して、昼間の尿量が減り、夜間の尿量が増える傾向に変わります。夜間の尿量が1日の尿量の総量の3割を超える場合、夜間多尿と呼びます。
泌尿器科を頻尿で受診する方のほとんどは、夜間多尿による夜間頻尿です。夜間多尿を調べる検査として、排尿日誌が非常に有効です。最近では、排尿日誌を実施しない泌尿器科も増えていますが、頻尿の鑑別診断には排尿日誌が必要不可欠だと考えられます。
頻尿・夜間頻尿の検査
■尿検査
尿検査は泌尿器科において必須の検査です。尿の通り道にがん細胞や細菌が存在しないかを調べます。さらに、赤血球や白血球が存在していないかも調査します。基本的に、尿は無菌であり、白血球や赤血球は含まれません。したがって、菌や白血球、赤血球が検出された場合、何らかの病気がある可能性があり、詳細な調査が必要となります。■超音波検査(エコー検査)
前立腺肥大症、膀胱内の腫瘍、および尿管結石の有無を調べるために、超音波検査が行われます。この検査では、身体にゼリーを塗布し、器具を当てることで実施されます。痛みがなく、放射線被曝もないため、体に負担がかからない安全な検査方法です。■採血検査
体内の炎症や貧血の有無を調べるとともに、腎臓機能や電解質バランスに問題がないかも確認します。さらに、前立腺がんの検査としてPSAの採血も行われます。■排尿日誌
頻尿の検査では、排尿日誌が非常に重要です。この日誌は、頻尿の原因を特定するために必要な情報を提供します。例えば、昼間に頻尿がある人が、1回の尿量が50㏄以下か、それとも300㏄~400㏄あるかによって、原因が異なります。
50㏄以下の場合、膀胱が尿を貯めることができない蓄尿障害が考えられます。一方、300㏄~400㏄以上の尿量が毎回出ている場合は、飲水量が多いか、ホルモン異常が原因の可能性があります。
夜間の頻尿についても、排尿日誌を用いて1回の尿量を確認することで、蓄尿障害なのか、それとも夜間に作られる尿量が多いのか(夜間多尿)を判断できます。この検査では、患者様に自宅で24時間の尿量を記録してもらいます。
■尿流量動態検査
尿の勢いを測定する検査があります。トイレで尿をする際、尿の出る速さを計測します。1秒間に何ml尿が出るかを測定し、その勢いから前立腺肥大症や神経因性膀胱の有無を判断することができます。当院では、この検査を実施しています。尿をためて行う検査です。頻尿・夜間頻尿の治療
■前立腺肥大症
前立腺肥大症が原因の場合、基本的には内服薬で症状を管理できます。詳細は前立腺肥大症のページにも記載されていますが、内服薬でのコントロールが難しい場合には、手術治療が検討されることもあります。■過活動膀胱
過活動膀胱が原因の場合、基本的には内服薬で治療が可能です。患者さんに合ったお薬を選ぶために、さまざまな種類の薬が用意されています。最近では、膀胱内にボツリヌス毒素(ボトックス)を注入し、過敏な膀胱の神経を抑える治療も開始されました。この治療は2020年5月から保険適用となり、当院でも導入されています。
内服薬で過活動膀胱による頻尿をコントロールするのが難しい場合、この治療は非常に効果が高いとされています。効果が切れる時期を考慮し、4~6ヶ月ごとに膀胱内にボツリヌス毒素(ボトックス)を注射します。
■夜間多尿
男性の場合は寝る前に、夜間の尿量を減らす内服薬(ミニリンメルト)を飲むことで、治療効果が高く、患者さんのQOL(生活の質)が向上します。ただし、副作用として電解質バランスが崩れることがあるため、定期的な採血が必要です。この治療により、夜間に5-6回トイレに起きていた方が、1回も起きなくなるというケースも多く見られます。■神経性頻尿
基本的に、内服薬による治療で症状が改善されます。薬の効果によって膀胱内に尿をためられるようになります。特に若い方の場合、ストレスが原因で神経性頻尿が起こることが多いため、生活環境を変えることで症状が改善されることもあります。頻尿の治療費用は?
当院は、全て保険診療で行っています。初診時の診療費用は、薬代を除いておおよそ以下のようになります(3割負担)。・尿検査のみ:2000円前後
・エコー検査のみ:2500円前後
・採血+尿検査:3500円前後
・採血+尿検査+エコー検査:5000円前後
当院は、泌尿器科専門医が在籍し、プライバシーの管理と感染予防対策を徹底しています。老若男女問わず、気軽に受診できる環境を整えています。泌尿器科疾患でお悩みの方は、是非くぼたクリニック松戸五香へご受診ください。